ドローンで人の土地を飛行してしまった場合、所有権侵害になるのか?

こんにちは、ドローン行政書士の川原辰也(かわはらたつや)です。

今回はこんなお悩みにお答えします。

今回のお悩み

  • ドローンの所有権侵害とは??
  • 人の土地の上空を横切った時、所有権侵害になるのか?
  • ドローンで他人の土地上空を横切った時、損害賠償請求されてしまうのか?

では、さっそく詳しく見ましょう!

ドローンで人の土地を横切った場合、所有権侵害になるのか?

結論からいうと、他人の土地を横切ったこと自体は所有権侵害になります。

しかし、損害賠償責任を課されるリスクは少ないです。

理由は下記で説明します。

そもそも所有権侵害とは?

まず、所有権とは「法令の制限内で、所有物を自由に利用等できる権利」のことです。

それを侵害されることを、所有権侵害と言います。

ドローンスクールでよくある話題

ドローンスクールでは、ドローンを使用する上で注意すべき法律の一つとして民法を挙げていると思います。

ドローンと民法の関係で、所有権は土地の上(上空)に及びます。(民法206条、207条)。

そのため、ドローンが土地所有者に無許可で飛行した場合、所有権侵害となるので注意しましょうという話題です。

所有権侵害のリスク

法的なリスクとは一般に、損害賠償責任を課されることです。

権利を侵害した場合に生じた損害を金銭賠償という形で損害を回復する方法が損害賠償です。

そして、損害賠償責任を負うつまり金銭的負担を課されることがリスクとして挙げられます。

では、所有権侵害をした場合のリスクとは何なのでしょうか?

ドローンが土地所有者の土地を一瞬横切ったようなケースを例に考えてみましょう。

なお、このケースの回答が、全てのケースに当てはまるわけではないので個別具体的なケースは専門家に相談してください。

所有権侵害の例

Aさんのドローンが、操縦を誤ってKさんの土地の上空を横切りました。

ドローンがKさんの土地を横切ったのは一瞬です。

確かに、Aさんのドローン飛行によってKさんの土地所有権を侵害したと観念できます。

では、Kさんには金銭賠償を求めるほどの損害が生じたといえるでしょうか。

このようなケースの場合、Kさんに何らかの損害が生じていると主張するのは困難だと思います。

なぜなら、Kさんに何らかの不利益が生じていると証明しがたいからです。

かわはら

つまり、AさんのドローンがKさんの土地上を一瞬横切る程度の飛行であれば、損害賠償責任(民法709条)を課されるリスクは限りなく少ないといえます。

そもそも、土地の所有権が土地の上にも及ぶとの趣旨は、土地の上に住居を建てる等の利用を法律上明確にしておく事や、置かれた自動車や侵害物に対して所有権侵害を観念して、排除させるためです。

では、AさんのドローンがKさんの土地上空を飛行中にKさんの土地にドローンを墜落させてしまったようなケースはどうでしょうか?

かわはら

AさんはKさんの土地からドローンの撤去やKさんの建物や土地に損害を生じさせていた場合にはその損害賠償責任を負う可能性があります。

これも所有権侵害の一例といえます。

全てのドローンが対象。

特に所有権侵害の問題は、全てのドローンが対象となります。

全てのドローンとは、航空法の適用がない199g未満のドローンつまり、Mavic mini2 tiny hoopといったマイクロドローン全てが含まれます。

ドローンの法律問題は、航空法だけであるといった誤解が散見されますが、全てのドローンユーザーに注意して欲しいと私は思っています。

航空法と民法の関係

航空法の許可は、一定の禁止空域での飛行を許す行政上のものです。

それは、ドローンの性能上及び運航技術上の判断からなされます。

一方で、民法は航空法のように200g以上のドローンについてなどとの限定を加えていないので、全てのドローンが所有権侵害の対象となりえます。

今後の展望

今後、有人地帯における目視外飛行(レベル4)にむけて、まずますドローンに注目が集まるでしょう。

ドローンでの物資輸送などを目的として、住宅街やオフィスビル街等といった人口が集中している場所で、プロポ(ドローンの操縦機)のモニターを見ながらドローンを飛行させること(目視外飛行)が法律上認められるように検討が進められています。

その時に住民やビル所有者等から懸念が出されるのは主に、所有権とプライバシー侵害の問題となるでしょう。

ドローンユーザーが正しい知識を持って、安全にドローン飛行ができるよう、私は今後も尽力していきます。

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