ドローンを使用してこれから事業を始めようとしている、またはすでにドローン事業をしているというあなた。
ドローンを始めるときにどんなリスクがあるのか不安だ。
知らない間に法律違反をしていないかな?等、不安に思うことはありませんか?
また、『航空法はきちんと確認したから大丈夫!』と思っていませんか?
航空法以外にも『ドローンを使用することで、無条件に発生するリスク』があります。
今回はドローンと法律の両方に詳しいドローン専門家の観点から、『ドローンを使用した事業のリスク』と『リスクの回避方法』まで内容を深堀りしてお伝えします。
では、さっそく今回の本題に入りましょう。
ドローン事業に関わるリスク
近年目覚ましい急成長をしているドローン業界。
何か事業を始める際には、費用対効果とともにリスク面も考えることがとても重要になってきます。
ドローンのリスクはなんなのか?
どのようにしてリスクヘッジするのか?
まずは、ドローン事業を始める前に、ドローンを使うと下記の3つのリスクを負う可能性があることを頭に入れておいてください。
ドローンを使用した事業のリスク3つ
- 民事上の損害賠償責任を負うリスク
- 刑事責任を負うリスク
- 行政上の罰則(懲役や罰金など)を負うリスク
実際にこれら3つのリスクは、どういったときに発生するのでしょうか?
事例を交えてお話していきます。
民事上の損害賠償責任について
民事上の損害賠償責任とは?
損害賠償責任とは、金銭を支払って、損害を回復する責任のことです。
交通事故を例に取ると分かりやすいと思います。
”事故を起こして車を壁にぶつけた”
車をぶつけた人は、ぶつけて壊れてしまった壁の損害を回復するためにお金を払って責任をとる、ということになります。
これが、「損害賠償責任」というものです。
では、ドローンの場合はどうでしょうか?
事業でドローンを使って事故を起こした場合も同様
ドローンで事故を起こした場合も同様です。
事業でドローンを使っていて、”墜落した” または ”人にぶつけた” ”建物や車に衝突した” 等の場合に、損害賠償責任を負う可能性があります。(民法709条)
安全管理体制の有無で変わる過失割合の事例
ケース1:安全管理体制なしでドローン事故
A企業は、事業でドローンを使用中にドローンの不具合によりドローンが墜落してしまいました。
墜落事故で、100万円の損害がありました。
離陸前の機体チェックもきちんと行い確認しましたが、機体チェックした内容を書面(チェックシートなど)に残していませんでした。
A企業の場合、離陸前の機体チェックをきちんとしていたのにドローンの不具合がおきてしまいました。
しかし、A企業には、機体チェック、飛行経路の安全性の確認並びに確保、立ち入り禁止措置といった保全措置を講じていたとしても客観的な資料ないし文章がなければ、安全管理体制を構築した証拠がありません。
よって、機体チェックをしたといった安全管理体制の構築を証明する手立てがないため、過失割合が100%となり(過失割合とは、わざとではないミスの責任の重さの事)
ドローンを墜落させてしまったA企業は民事上の損害賠償責任が発生し、100万円を支払う必要が生じる場合もあり得ます。
ケース2:安全管理体制ありでドローン事故
B企業は、事業でドローンを使用中にドローンの不具合によりドローンが墜落してしまいました。
墜落事故で、100万円の損害がありました。
離陸前の機体チェックもきちんと行い確認し、機体チェックした内容を書面(チェックシートなど)に残していました。
B企業の場合も、離陸前の機体チェックをきちんとしていたのにドローンの不具合がおきてしまいました。
しかし、B企業には、機体チェックシートをきちんと記入して保管していたため、機体チェックをきちんと行ったという証拠があります。
よって、機体チェックをしたことを証明することができ、過失割合が軽減されることになりました。
その結果、損害賠償額が100万円よりは減額された責任となる場合があり得ます。
予防法務の重要性
上記2ケースの違いはなんでしょうか?
それは、機体のチェックシートといった安全管理体制の構築結果を記入し、保管していたかどうかです。
そんなことだけで?と思うかもしれません。
しかし、それだけのことがが「リスク管理体制を構築していたか否か」の命運を分けることになりました。
この記事を見たあなたは、絶対に安全管理体制をしっかり整えてから、ドローン飛行することを強くオススメします。
※安全管理体制の構築には、さまざまな物があり、チェックシートの記入は一例です。
弊所では、最悪の事態に陥る前の予防法務として、安全管理体制の構築のノウハウと証拠の残し方を御社に提供することができます。
安全管理体制の構築の方法が分からない場合は、弊所のサービスをご利用いただくことが可能ですのでお声かけください。
刑事上の刑事責任について
では、次に刑事上の刑事責任について確認していきたいと思います。
基本的には上記でお話した民事の賠償責任の話と同様です。
刑事責任に問われる事例
例えば、ドローンを使って建物の撮影をしていて、その建物にぶつかってしまった。
これは、器物損壊罪にあたります。
例えば、操縦を誤ってドローンを人にぶつけて怪我をさせてしまった。
これは、過失傷害罪に問われる可能性があります。
上記の場合でも、やはりどれだけあなたがリスク回避のための安全管理体制の構築を行っていたか、証拠を残していれば
もし事故を起こしてしまった場合でも強く責任追及される可能性は低くできるのです。
そのためにしっかり安全管理体制の証拠を書面に残しておきましょう。
行政上の罰則について
行政上の罰則については、主に事前許可の話になります。
ドローン飛行の際には、基本的に飛行場所の許可を取得する必要があります。
もし、その許可を取得していなかったら・・・?
条例など行政上の注意点
例えば、飛行場所で行政上の許可が必要かどうかを事前に確認しておくのが大事です。
事前に確認を怠った場合、どうなるかというと・・・
- 飛行当日、警察に通報される
- 飛行場所の管理者から、飛行を中止してくださいと注意を受ける
このような不都合が起こった場合、
飛行計画のスケジュール自体を立て直す必要が出てきます。
特に事業でドローンを飛行させる場合は、数人で同行することが多く、ロケなどそもそも撮影が成り立たなくなってしまいます。
行政上の規制は事業をする上では重いものとなってしまいます。
事前に飛行経路・飛行場所の飛行許可を取得するよう、十分に確認するようにしましょう。
弊所では、行政上の飛行場所の飛行許可の確認代行・申請代行などのサービスがございますので、飛行場所の許可取得が必要な場合は事前にお問い合わせください。
まとめ
ドローン使用した事業のリスクは以下の通りでしたね。
ドローンを使用した事業のリスク3つ
- 民事上の損害賠償責任を負うリスク
- 刑事責任を負うリスク
- 行政上の罰則(懲役や罰金など)を負うリスク
いずれも、事前に安全管理体制を構築していくことが重要です。
事故が起こってしまってからではなく、ドローンを飛行させる前の準備段階が非常に重要ということを念頭に置いて
ドローンの管理を強化していってください。