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ドローン法改正の内容を専門家が詳しく解説。2021年以降どうなる?

ドローンの許可申請専門の行政書士、川原辰也(かわはらたつや)です。

2020年6月にドローンの法改正が発表されました。

2021年以降、どうなっていくのでしょうか。

2020年12月29日時点での情報を基に、航空法の改正内容について詳しく解説していきます。

2020年ドローン法改正の内容は4つ

ドローン法改正の内容

  • 機体の登録制度(改正済み)
  • 機体認証(検討中)
  • 操縦ライセンスの創設(検討中)
  • 運航管理の遵守事項の明文化(検討中)

この上記4つについて解説していきます。

❶機体の登録制度について(航空法は改正済み)

ドローンの法改正の目玉の1つは、機体の登録制度です。

登録義務化は、2022年6月を予定しているようです。

機体の登録制度とは、ドローン所有者とドローン機体の情報を一致させるものです。

一致させた情報は、無人航空機登録原簿に登録されます(航空法131条の3)。

なぜ登録制度を導入するのかというと、不適切な飛行が行われた場合にもドローンの所有者等を特定できない不都合の解消と、所有者に安全上必要な措置を講じさせるためです。

【最新の情報】(2021年11月28日追記)
機体の登録制度で機体認証のためにリモートIDが導入されますが、リモートIDは必須なのかどうかを解説しています。
下記ページからご覧ください。

機体の登録制のメリット

まだまだ発展途上にあるドローンに関しては、ドローン飛行に対する危険性を懸念される方もおられます。

この点、機体の登録をしておけば国に登録されたドローンが安全に飛行できる物としてお墨付きを与えたこととなります。

機体を登録することで、安全に飛行できるという証明になるというメリットがあります。

機体の登録制のデメリット

かなり大きな変更点が登録制度にあります。

ドローン飛行をさせる側としての一番の問題は、機体登録をしなければドローン飛行ができないことです(法131条の4)。

これは、航空法の禁止空域(空港周辺、人口集中地区、150m以上の高度)以外の場所についても、機体を登録しないとドローン飛行できなくなります。

法改正をされて一番の問題を感じるのは、国土交通省の許可がなくても違法とならない地域(つまり田舎などの飛行禁止地区以外の場所)で飛行させていた方ではないかと思います。

登録せずに飛行させた時点で、航空法違反になります。

つまり、ドローン飛行させるには、必ず登録しなければならないという状況になります。

登録せずに飛行させた場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる可能性があります(法157条の4)。

登録手数料の納付は必須(航空法は改正済み)

航空法の規定によれば、無人航空機の登録及び登録の更新について手数料を納めなければならないと規定されています(法135条23号及び24号)。

そのため、法律の規定によれば登録手数料の納付は必須となります。

手数料の額については省令が法的根拠となります。

しかし、現段階では省令が改正されていないため具体的な金額は明らかではありません。

100g以上の機体が登録必須?(省令はまだ改正されていません)

法律の根拠が現時点では無いので、未確定情報としてお話しますが、

国土交通省の資料では、規制の拡大を検討して『100g以上の機体』を登録必須とする方向で検討されています。

今までぎりぎり航空法の規制を受けていなかった、199gのDJI社ドローンMavic miniやMavic mini2も規制対象となる予定です。

このような規制対象の拡大理由は、200g未満のドローンの性能が向上しており屋外飛行して衝突や墜落した場合には、人や物の安全性を害する恐れがあると考えられているからです。

そのため、登録制度が開始される前に国交省令を改正し、屋外を安定的に飛行できる機体を規制対象とすることを検討しています。

この屋外を安定的に飛行できる機体として『100g以上の機体』を想定しているようです。

❷機体認証について(法改正案を検討段階)

機体認証とは、機体の安全性を確認するものです。

既に飛行マニュアルでは記載されていますが、『ドローンの機体を整備すること』が法文上で義務化されます。

現在の申請においても一定の機体については、機体性能について個別審査が省略されていますね。この個別審査の省略は従前と大きく変更することはないと思います。

機体認証というのは、いわゆる車の車検のようなものです。

一定規模以上の修理や改造を行った場合には、国等の検査によって機体認証を得ることが予定されています。

どのように整備していくのか、細かい内容はまだまだ未確定要素が多く未定となっています。

2022年運用を目指しています。

❸操縦ライセンスが創設される(法改正案を検討段階)

今まで、人口集中地区や目視外など、原則禁止されている飛行をさせる際は、国土交通省の許可や承認が必要でした。

法改正後は、ライセンスを持っていれば飛行できるようになります。

これによって、国土交通省の個別の飛行許可は一定の範囲で省略される予定です。

ライセンス取得は、民間や国の管理する施設で実技試験や学科試験を課すという方向で検討されています。

民間のドローンスクールに委託する方向でも制度設計が検討されているため、特にドローンスクールの方は注意して情報をキャッチアップしていきましょう。

操縦ライセンスを導入する理由

これからどんどんドローンを使った事業が拡大していきます。

運送・配送、処方箋の調達などをドローンでしようとしているからです。

寝たきりの人や、今のコロナ化の状況からもっと非接触の方法を考えた時にドローンが効率的なのです。

その時にドローンを操縦する人が、全く初心者で目視外飛行をする状況だったら、思わぬ事故につながりかねません。

それで、操縦ライセンス制度を導入するというわけですね。

また、自動車の免許のように予め一定の操縦技能が証明できれば、個別の飛行許可が不要となるなどドローンの運航を円滑にできることとなりますね。

❹運航管理の遵守事項の明文化について(法改正案を検討段階)

ドローン飛行する上での安全管理体制が明文化される予定です。

飛行マニュアルに書かれている安全に飛行するためのルールを法律として制定していく方向で話が進んでいます。

といっても、ドローン飛行をさせる側の人は特に今までと変わりなく、安全にドローン飛行させていれば問題ありません。

だいたいは、今まで飛行マニュアルに書いてあったルールを明文化(=法律制定)するということになりそうです。

詳しく言うと

すでに法律で規制されている10項目の法律に加えて

無人航空機飛行マニュアルに記載されているような『飛行計画の通報(飛行情報共有システム(FISS)での入力等)』や『事故発生時の航空局への報告』などが新たに法律として制定される予定です。

すでに法律で規制されている10項目の法律については、こちらをご覧ください。

運用開始は2022年からを目指している

登録制度は2022年6月予定、

ライセンス制はこれから制度設計をすることなどを考えると、表向きは2022年度と言われていますが2023年度にずれこむ可能性も考えられます。

まとめ

まとめます。

ドローンの法改正の内容は大きく分けて下記の4つでした。

ドローン法改正の内容

  • 機体の登録制度
  • 機体認証
  • 操縦ライセンスの創設
  • 運航管理の遵守事項の明文化

今まで航空法の規制を受けずにドローンを楽しんでいた方も、機体の登録制度の対象となります。

知らないうちに運用が開始されていた!ということにならないように、しっかり情報をキャッチしていきましょう。

3件のフィードバック

  1. ライセンス取得は 民間の自動車教習所のように、学科と実技の講習の後、実技試験は、免許センターのような場所での厳しい行政官の実施になるのか?スクール内での卒業検定で良いのか?どちらでしょうか?
     事故保険は出てくるでしょうが、安価な支出で済むのか・要はどちらも多額な費用がいるのなら、たまに遊びで飛ばすだけの私では、高額になるのは困る。この辺がお安くなれば歓迎

    1. 鋭いご質問ありがとうございます!!
      ライセンス制度に関しては、この制度が導入されるという報道がなされていますね。
      しかし、意外なことにライセンス制度は、全てのドローンユーザーがライセンス取得が必要であるといった内容ではないのです。
      多くのドローンユーザーがライセンス取得が必要だと感じ、ドローン利用を諦めてしまうかもしれませんが誤解です!!
      もっと、自由にドローンを使って楽しみましょう!

      趣味目的で飛行されている場合では、現在の制度検討段階の内容ではライセンス不要です。
      しかし、登録制度の導入に伴い趣味目的で飛行されてる方も、個別の飛行許可等が必要になってくるとケースが出てくると思います。

      とても鋭い質問であり、多くのドローンユーザーが気になっている点だと思います。回答に代えて、別途コラム「ドローン法改正後のライセンスの取得方法は?」を公開させていただきました。
      よろしければ以下のコラムもご参照ください。
      https://kawa-gyosyo.com/drone/license/

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