- . 公正証書遺言の作成方法を知り確実な遺言書を残そう
- 1. 公正証書遺言とは
- 1.1. 公正証書遺言とは
- 1.2. 自筆証書遺言との違い
- 1.3. 公正証書遺言の作成費用
- 2. 公正証書遺言の作成手順
- 2.1.1. 遺言を作成する人の必要書類等
- 2.1. 公正証書遺言の作成に必要なもの
- 2.1.1. 遺贈する場合の必要書類等
- 2.1.2. 証人になる人の必要書類等
- 2.2. 公正証書遺言の作成の流れ
- 2.2.1. 公証役場へ行くまでの流れ
- 2.2.2. 公証役場での手続きの流れ
- 2.3. 公正証書遺言の作成例
- 2.4. 公正証書遺言作成の際の注意点
- 3. 公正証書遺言のメリットデメリット
- 3.1. 公正証書遺言のメリット
- 3.1.1. 遺言が無効となる確率が極めて低い
- 3.1.2. 検認手続きが必要ないため、相続をスムーズに開始できる
- 3.1.3. 生前は改ざん紛失の心配がなく、死後すぐに発見できる場所に確実に保管できる
- 3.1.4. 公正証書遺言は検索できる
- 3.1.5. 遺言書検索システムで検索可能な内容
- 3.1.6. 公正証書遺言の保管期間
- 3.2. 公正証書遺言のデメリット
- 3.2.1. 遺言の作成に時間がかかる
- 3.2.2. 遺言の作成に手数料がかかる
- 3.2.3. 遺言内容を他人に言わなければならない
- 3.3. 遺言内容のアドバイスは専門家にご相談ください
自分の遺産を相続人にどのように譲るか?遺言書を残しておかないと、法定相続通りに分けることになります。
もし、法定相続通りに分けたくない場合は、遺言書の作成が必要です。
遺言内容を最も確実に実行できるのは公正証書遺言です。
公正証書遺言とは、法的に正しい書式で遺言書を作成できる遺言書の作成方式のことです。
公証役場で承認二人以上の立ち合いのもとに、遺言者が遺言事項を口述して作成します。
一番大きな違いは、その有効性です。
自筆証書遺言の場合は、要件を何か一つでも満たしていないと遺言書の効力が無効となってしまう可能性が高いです。
また、保管するには生きているうちは遺言書の改ざんを避けるためにあまり見つからない場所へ、死後はすぐに発見できる場所へ自分で保管しなければなりません。
故人の死後、自筆証書遺言を発見した場合は、勝手に開封すると過料の対象となるので、家庭裁判所で検認の手続きが必要です。
公正証書遺言の場合は、作成費用は残す財産や相続人の数で変わってきますが、遺言書の効力として無効になる可能性が低いです。保管については、公証役場で保管されるので他人に改ざんされる心配がありません。また、検認の必要もありません。
より確実に遺言書を残したい場合は、有効性・保管状況・検認手続きの全てが安全に進められる公正証書遺言をおすすめします。
公正証書遺言 | 自筆証書遺言 | |
---|---|---|
有効性 | より確実に有効 | 無効の可能性あり |
保管方法 | 安全に保管できる | 安全な保管が難しい |
検認が必要か | 検認不要 | 検認必要(保管制度を使えば検認不要) |
公正証書を作成する際の費用(手数料)は、法によって決められています。
全国どこの公証役場でも同じです。
手数料は、相続人や受け取る人(受遺者)の人数や、その財産額で変わってきます。
必要な書類は、場合によって異なります。作成前に十分な確認をとり準備をしておきましょう。
必要な物
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
遺贈する場合
- 遺贈を受ける人(受遺者)の住民票
- 被相続人の不動産の登記事項証明書
- 固定資産評価証明書
- 財産目録
証人を2人用意しましょう。
遺言内容を漏らさない、信頼できる人2人に証人を依頼します。
証人を依頼できる人が思い当たらない時は、公証人が紹介してくれます。行政書士も証人になれるのでお声かけください。
証人のいるもの
- 証人になる人の身分証明書(住民票など)
- 証人になる人の認め印
遺言内容を決めておく
当然ですが、遺言内容が決まっていないと遺言書が作れないので、あらかじめ遺言内容(財産を誰に何を譲るか)ということを決めておきます。
遺産となる預貯金や不動産などの一覧を財産目録のような形で準備しておきます。遺言書での財産分割の内容は相続人同士のトラブルを防ぐために非常に重要です。事前に専門家と相談の上、決めるとスムーズでしょう。
証人2人を決めておく
証人となってもらう2人を決めておきます。
相続人は証人となれないので、そのほかで信頼できる人を探すか、有料で用意しましょう。
→証人になれない人の条件を詳しく見る
ちなみに弊社の遺言書作成サービスをご利用いただいた場合は、弊社スタッフが証人となることも可能です。
必要書類を準備する
住民票や戸籍謄本、不動産の証明書類など必要書類を事前に準備しておきます。
公証人が手伝ってくれるといってもすべて手取り足取り準備してくれるわけではありません。家族にしかわからないこともありますので、それを説明する手立てとして必要書類をご用意ください。
※ご病気や高齢・多忙など、ご自身でいくつも役所を回って書類を用意するのが難しい場合は、弊社行政書士が書類収集から代行するサービスも行っておりますので、お気軽にお声かけください。
公証人と遺言作成の日程を決める
上記の用意ができたら、公証役場に連絡して作成日時を決めます。
公証役場は全国に約300か所ありますが、管轄などは決まっていないので最寄りの公証役場にいくのがよいでしょう。
公証役場に出向く
予約した日程に公証役場に出向き、遺言書を作成しましょう。
遺言者が公証役場に出向くのが難しい場合は、病院や自宅に出張も可能です。
→公証人に出張してもらうケースを詳しく見る
遺言証書の作成
遺言者が口述する遺言事項を公証人が筆記し、遺言証書を作成する。
遺言証書の読み聞かせ
筆記したものを公証人が遺言者と証人全員に読んで聞かせます。
遺言者と証人の署名・押印
遺言者と証人は、筆記が正確であることを確認のうえ、署名・押印します。
遺言者は実印でなければなりません。
証人は認印で構いません。
遺言者が病気などで署名できない時は、公証人がその理由を付記すればよいことになっています。
公証人が手順付記と署名・押印
公証人は証書を作成した手順を付記して署名・押印します。
遺言書の受取
完成した公正証書遺言を受け取ります。
費用も支払って、終了となります。
下記に、公正証書の作成例を図にして載せました。
公正証書遺言 作成の際の注意点
- 作成される書類のタイトルは「遺言公正証書」とする
- 遺言者が口述した遺言内容を公証人が筆記して作成。全国どこの公証役場でも作成できます。遺言者が病気などの理由で出向できない時は、公証人に出張してもらうことも可能です。
- 遺言内容を列記
- 遺言内容を列記した後、本旨外要件として遺言者の住所、氏名、生年月日を記載
- 遺言者が本人であることを確認。承認を明記。
- 公証人が筆記した内容を読み聞かせ、遺言者、証人が署名・押印。
- 遺言者のハンコは実印でなければなりません。(証人は認印でも構いません。)
ここで、公正証書遺言のメリットをまとめます。
遺言書はその性質上、法律上の書式を満たしていないと無効になる場合がありますので、自筆証書遺言などでは検認の際に無効になってしまう場合があります。
しかし、公証人立ち合いのもとチェックを受けながら作成した公正証書遺言はほぼ無効になることはありません。
公正証書遺言では、検認手続きが必要ありません。
通常、検認手続きは1~2週間ほどかかりますが、その分時間を短縮できるので、相続が発生した直後から、すぐに遺産分割の手続きを開始することができます。
※「相続放棄」は、相続を知った日から3カ月以内にしなければならないため、検認手続きをしないでよい期間で少しでも時間に余裕を持たせられます。
遺言書を書いたのはいいけれど、生前は遺言内容を快く思わない親族に改ざんされない場所に。死後は発見されないと意味がないのですぐに見つけてもらえる場所に保管することになります。(それがまた難しいのです)
自筆証書遺言では、自分で管理しなければなりませんが、公正証書遺言では公証役場で原本が無料で保管されます。
公正証書遺言には「遺言書検索システム」があり、
作成すると下記の内容が日本公証人連合会の本部でデータ管理されます。
- 遺言者の氏名
- 生年月日
- 証書の日付
- 番号
遺言書検索システムによって検索可能な内容は下記の項目です。
- 公正証書遺言が作成されているかどうか
- 作成されていれば、どこの公証役場に保管されているのか
照会内容は、遺言書があるかどうかと、どこに保管されているかだけなので
内容を知りたい場合は該当の公証役場に出向く必要があります。
照会ができるのは公証人だけで、生前は遺言者本人のみ、遺言者の死後は相続人などの利害関係人のみが公証人に照会を依頼することできるようになっていますので、プライバシーは守ることができます。
保管期間は遺言者が120年才になるまでです。
公正証書遺言は作成後、原本が公証役場で無料で保管されます。
万一、正本を紛失しても再交付を受けることができます。
原本は法律で作成から20年間の保管が定められています。
次に公正証書遺言のデメリットを見てみます。
自筆証書遺言では、紙とペンがあれば内容を自筆して数10分で作成できますが、公正証書遺言では、公証役場の予約なども必要になり大体1週間ほどかかります。
公正証書遺言の作成には、法律で決められた手数料がかかります。
この手数料は、相続財産と相続人数によって変動します。
相続財産が多いほど、相続人数が多いほど、手数料は高くなります。
公正証書遺言では、作成の手順にもあるように、公証人や証人2人に遺言の内容を聞かせる必要があるため、嫌でも内容を知られてしまうことになります。
他人に遺言内容を知られるのが嫌な場合は、秘密証書遺言の作成という手もあります。
※秘密証書遺言は検認が必要です。
公証人には、書面上の相談はできても遺言内容まで相談することはできません。
誰にどれだけどのように財産を譲るか・・・細かい内容までは面倒を見てくれないということでですね。
遺言内容は遺言者本人が決めることですが、やはり一人で決めるには情報や知識が足なかったりで、どうしていいのか不安に思われる部分もあるかと思います。
私たち行政書士は、専門的な相続の知識を持ち合わせているため、節税の方法や争いがおきないよう未然に防ぐための方法も多数ご相談いただいております。
遺言書でお悩みの方は、川原行政書士事務所にご相談ください。
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初回のご相談は無料で行っておりますので、気になることや分からないことはどんどんご質問いただき疑問を解消するお手伝いができればと思っております。
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