遺言を有効な遺言書にするために【自筆証書遺言の記載内容】

「さぁ、遺言を書こう」と思ったけれど、何からどうやって書いていいのかわからない。

効力のある自筆遺言書の書き方を教えてほしい。

今回は、自筆証書遺言の有効要件について解説します。

最後に、自筆証書遺言書の有効となっているか確認項目を設けていますのでご利用ください。

自筆証書遺言を作成する前の確認

遺言を書くのは自らの意思ですか?

遺言者本人の意思で書いていますか。

遺言を書くというのはとてもつらいことです。
遺言を書くことで、自分の死と向き合う。自分がいなくなった後の家族や大切な方の世界を想像しなければならない。
私自身、自分の遺言書を作成しました。
何度も何度も書き直し、数日掛けて書き上げました。

家族の為に遺言を書く方も大切な方に頼まれて遺言を書く方も、
改めて自らの意思で遺言を書くと自分の心に問うてください。

自筆証書遺言書は、自筆(自書)で書きます

自筆証書遺言は、基本的に自筆(自書)で作成します。
パソコンで遺言を作ってはダメで、自分で手書きして作るというものになります。

必要なもの

  • ペン
  • ハンコ(実印推奨)

自筆証書遺言の書き方

全文を書く

遺言者は「○○に土地や現金を全て相続させる」といった遺言の内容すべてについて自分で書きます。
誰かに書いてもらうといった代筆は認められません。

例えば、専門家に自筆証書遺言の作成をお願いしても、遺言の内容を一緒に考えて原案を作成することはお手伝いすることができますが、最後は遺言者本人が全文の内容を自らの手で書いてもらう必要があります。
なお、お体の具合などによって自分で書くことが難しい場合には、公正証書遺言の利用が可能です。
→公正証書遺言とは

日付を書く

遺言書を書く日付は、遺言書を完成させた西暦ないし元号から月日まで正確に書きます。

■正しい記入例
 令和3年3月1日
 2021年3月1日

■間違った記入例
 令和3年吉日
 →この遺言書は無効となります。

日付の特定は、遺言が何度でも作り直しができるという性質上、とても重要です。

氏名を自署する

遺言者本人の名前を記載しなければなりません。

遺言者本人が遺言書を手書きしましたとの証明
遺言内容が遺言者本人の意思であるとの証明のためです。

押印する

遺言書に押すハンコは、実印を推奨しています。
遺言書に押すべきハンコの種類は、法律上決められていません。
しかし、どこにでも売っているようなハンコを使うと遺言者の死亡後に遺言書が偽物ではないかといった争いが起きることがあります。

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付、及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

民法968条 第1項 自筆証書遺言の要件

財産目録について

法改正により、遺言書の一部である財産目録については、パソコンで書いたものを印刷したものを提出しても有効となっています。
→財産目録作成の詳細

前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第一項に規定する場合における同項の規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

民法968条 第2項 自筆証書遺言の要件

加除・変更はありませんか?

遺言内容を見直していて、書き加えたり、削除したり、内容を変えたりした場合、せっかく作成した遺言書も法律の形式に従わなければ遺言書が無効となるので注意が必要です。

自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

民法968条 第3項 自筆証書遺言の要件

最後にもう一度確認

完成!と思ったら、最後に下記の6点を確認しましょう。

確認事項

  • 「全文」を自書していますか
  • 「日時」を正確に、かつ自書していますか
  • 「氏名」を自書していますか
  • 「印」を押していますか
  • 加筆・徐筆・変更はありませんか
  • 財産目録に署名・押印はされていますか

まとめ

自筆証書遺言を規定している民法の条文だけを見て、実際に自分で遺言を書くのはとても容易なことではありません。

自分が書いた遺言書は大丈夫?といった疑問・質問でも構いません。
もしお困りのことがあれば、無料相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

川原辰也
川原辰也川原行政書士事務所 代表
申請代行のプロ。補助金やドローンの申請ではたくさんの許可承認を得てお客様に喜んでいただいている。
補助金業務では企業団体や個人事業主といった規模に関わらず幅広く活躍。
企業の運営責任者や、個人事業でご自身で補助金申請して通らなかった方は一見の価値あり。