相続で遺言状の効力が法的に発揮される内容とは?遺言でできること14選

親しい友人の訃報を聞いたとき、自身にもいつか来る終焉が近づいてきているのかもしれないと感じる時がありませんか。

自分の死後を想像したとき、配偶者に必要な生活費を残してやれるか。持ち家は相続によって分割されて配偶者が住めないのではないか。あるいは争族といわれる争いに巻き込まれてしまうのではないか。そんな不安の声を依頼者の方から多く聞き受けます。

遺言書にはなんでもかんでも書いたら、死後家族がその通りに動いてくれるわけではありません。法的に効力をもって実行される内容がきちんと決まっています。

そこで、今回は遺言書の効力が法的に発揮される内容を把握し、自分の意思が反映される遺言が書けるよう確認しましょう。

法的に効力が発揮される内容とは?

遺言でできること

遺言書でできることは、主に3つに分かれています。
・身分に関すること
・財産の処分に関すること
・相続に関すること

身分に関すること

遺言書でできることの中で、身分に関することは2つあります。

身分に関すること

  • 子の認知
  • 未成年者の後見人・後見監督人の指定

上記2つを詳しく見てみましょう。

子の認知

婚姻関係にない相手との子との親子関係を認めること。
例えば、愛人の子などがそれにあたります。
子の認知は、胎児に対してでもできます。

未成年者の後見人・後見監督人の指定

推定相続人に親権者のいない未成年がいる場合、「後見人」の指定をすることができます。
さらに、後見人を監督する「後見監督人」の指定もできます。

財産の処分に関すること

遺言書でできることの中で、財産の処分に関することは3つあります。

財産の処分に関すること

  • 財産の遺贈
  • 財産の寄付
  • 信託の設定

上記3つを詳しく見ていきましょう。

財産の遺贈

相続人以外の人に財産を贈与することができます。

相続人に財産をゆずる場合は、相続すると言いますが、
相続人以外の人に財産をゆずる場合は遺贈と言います。

財産の寄付

財産の寄付をする、財団法人を設立するなどができます。

信託の設定

財産を指定した信託銀行などに預けて、管理、運用してもらうことができます。

相続に関すること

遺言書でできることの中で、相続に関することは9つあります。

相続に関すること

  • 相続分の指定とその委託
  • 遺産分割方法の指定とその委託
  • 遺産分割の禁止
  • 相続人相互の担保責任の指定
  • 特別受益の持ち戻しの免除
  • 相続人の廃除や排除の取り消し
  • 遺言執行者の指定とその委託
  • 祭祀承継者の指定など
  • 遺留分侵害額の負担順序の指定

では、上記9つを詳しくみていきましょう。

相続分の指定とその委託

法定相続分とは異なる各相続人の相続分を指定することができます。
また、第三者に相続分の指定を委託することができます。
例えば、配偶者や子の負担や依存度などで配分を変えたり、長男に事業を継がせる場合などは長男1人に多く相続させるケースもあります。

遺産分割方法の指定とその委託

財産をどのように分けるのか、具体的な遺産分割の方法を指定することができます。
また、第三者に分割方法の指定を委託することもできます。

遺産分割の禁止

相続開始から最長5年以内であれば、財産の分割を禁止することができます。
例えば、子供に家を相続させるが売らないでほしいなど。

相続人相互の担保責任の指定

相続後の相続人同士による担保責任を軽減したり、加重したりできます。

特別受益の持ち戻しの免除

相続分から差し引かれる生前贈与や遺贈などによる特別受益分を、考慮に入れないように免除することができます。

相続人の廃除や排除の取り消し

相続人の廃除をしたり、排除を取り消したりできます。
例えば、親に苦労をかけた次男だけ相続人から外し、相続させないということができます。逆に取り消すこともできます。

遺言執行者の指定とその委託

遺言内容を実行させるための遺言執行者を指定しておくことや、第三者に指定を委託することができます。
遺言内容を確実に実行するために、遺言執行者は決めておいた方が良いです。

祭祀承継者の指定

先祖の祭祀を主宰する人、墓や仏壇などを受け継ぐ人を指定できます。

遺留分侵害額の負担順序の指定

遺留分の侵害額請求を受けた際の負担額の順序は指定できます。

その他の注意点

葬式や墓などの内容の記載

葬式などが終わってから遺言書が開封される流れとなっているので、葬式や墓などの内容は別の用紙に書きましょう。

婚姻や養子関係の内容は認められない

「死後、配偶者との婚姻関係を解消する」や、「養子縁組を解消する」という内容は認められませんので、注意が必要です。

連名による遺言も認められない

例えば、夫婦で連名するなど、連名による遺言も認められていません。

一人ずつ個別に書くようにしましょう。

まとめ

法的な内容としては、上記の内容を記載すればよいのですが

法的な内容以外を書いても無駄というわけではありません。

なぜこのような遺言書の内容にしたのか、あなたの気持ちを書いておくことは大事なことです。

「こう考えてこういう内容にした」「家族仲良く助け合って暮らしてほしい」など、残された家族への想いを記載することで相続トラブルを防ぐことにもつながりますので、忘れずに書いておきたいですね。

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